ファーストパーティデータ(1st party data)とは?活用戦略やCookie規制における役割を解説!
松谷 有紗
2021年、マイクロアドに新卒入社。入社当初よりマーケティング活動に従事しており、リード獲得数の伸長に貢献。広告運用やイベント企画、サイト制作・運用やブログ執筆など、マーケティング全般に携わる。
こんにちは!Post Cookie事業部の松谷です。
近年、デジタルマーケティングにおけるデータ活用がますます重要性を増しています。
中でも、ファーストパーティデータは、企業の顧客理解を深め、効果的なマーケティング戦略を立案するために不可欠な存在です。しかし、Cookie規制の強化やプライバシー意識の高まりにより、ファーストパーティデータの収集や活用方法に変化が生じています。
本記事では、ファーストパーティデータとは何か、なぜ重要なのか、どのように収集・活用できるのか、そしてCookie規制における役割について詳しく解説します。
▼こんな方におすすめです
・3rdPartyCookie終了に伴い、不安を感じている方
・今後のマーケティング戦略をどのように進めるか迷っている方
・ファーストパーティデータの活用をこれから始めようと考えている方
目次を表示
- ファーストパーティデータ(1st Party Data)の概要
1.1 ファーストパーティデータとは
1.2 ファーストパーティデータにできること
1.3 サードパーティデータとの違い
1.4 ファーストパーティデータがもたらす広告主へのメリット - ファーストパーティデータが重要な理由
2.1 Cookie規制への対策
2.2 低コストで精度の高いデータを取得可能
2.3 プライバシーリスクへの適応 - ファーストパーティデータの収集方法
3.1 Webトラッキング
3.2 CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の活用
3.3 オフラインでの取得(セミナーなど) - ファーストパーティデータの活用戦略
4.1 マーケティング施策立案での活用
4.2 見込み顧客の呼び込み
4.3 広告の最適化 - マイクロアドでのファーストパーティデータを活用した広告配信
- まとめ
1.1 ファーストパーティデータとは
ファーストパーティデータ(1st Party Data)とは、企業が自社のシステムや顧客との直接的なやり取りを通じて収集したデータを指します。
具体的には、Webサイトのアクセスログ、顧客情報、購入履歴、アンケート回答、顧客とのやり取り内容などが含まれます。
1.2 ファーストパーティデータにできること
ファーストパーティデータは、顧客の属性、行動、ニーズを理解し、より効果的なマーケティング施策を実行するために活用できます。
具体的には、以下のようなことが可能です。
- ・顧客セグメンテーション:顧客データを分析し、属性や行動に基づいて顧客をグループ分けします。
- ・ターゲティング広告:顧客データに基づいて、最も興味関心が高い層に広告を配信することができます。
- ・顧客ロイヤルティ向上:顧客データを活用して、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされたサービスを提供することで、顧客満足度向上に繋げることができます。
- ・商品開発:顧客データを分析することで、顧客のニーズや課題を把握し、商品やサービスの開発に役立てることができます。
1.3 サードパーティデータとの違い
サードパーティデータとは、企業が外部のデータプロバイダーから購入・連携するデータを指します。
一方、ファーストパーティデータは、企業自身が収集したデータです。
サードパーティデータは、多くの場合、複数の企業から収集されたデータを統合したものであり、顧客の属性や行動を正確に把握できない場合があります。
また、Cookie規制の影響を受けやすく、利用できるデータ量や精度が低下する傾向にあります。
一方、ファーストパーティデータは、自社の顧客に関する情報であり、比較的正確性が高く、Cookie規制の影響を受けにくいです。
1.4 ファーストパーティデータがもたらす広告主へのメリット
・広告配信の精度向上:ファーストパーティデータは、顧客の年齢、性別、所在地、購入履歴、ウェブサイトの閲覧履歴など、詳細な情報を含んでいます。この情報を元に、広告主は特定の属性を持つユーザーに対してピンポイントで広告を配信することができます。
・広告費の削減:より関心の高い消費者に対して配信されることで、無駄な広告配信を減らすことができます。
・顧客ロイヤルティの向上:顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされた広告を配信することで、顧客満足度向上とロイヤルティ向上に繋げることができます。
2.1 Cookie規制への対策
近年Cookie規制が強化されており、サードパーティデータの利用が制限されています。
Cookieが活用できなくなると、データに基づいたマーケティングは制限されてしまうように思われます。
しかし、Cookie以外の識別子(会員IDや暗号化したメールアドレス等)を自社のファーストパーティーデータとして収集・蓄積することで、Cookie規制後もデータに基づいたマーケティング活動を継続することが可能です。
2.2 低コストで精度の高いデータを取得可能
ファーストパーティデータは、自社のシステムや顧客との直接的なやり取りを通じて収集するため、外部のデータプロバイダーから購入するサードパーティデータに比べて、コストを抑えて収集することができます。
また、自社の顧客に関する情報であるため、サードパーティデータよりも顧客一人一人の情報精度が高いというメリットもあります。
2.3 プライバシーリスクへの適応
ユーザーの同意を得た上で収集したデータの場合は、サードパーティデータと異なりプライバシーリスクをケアすることが可能です。
また、企業はファーストパーティデータを自社内で管理することにより、セキュリティ対策の一貫性やアクセス制御の強化が担保されるため、データ漏洩などのリスクも軽減することができます。
自社内で収集できるファーストパーティデータは、どのように収集されるのでしょうか。ここでは、データがどのように収集されているかを解説します。
3.1 Webトラッキング
ウェブサイトやアプリにトラッキングツールを設置することで、ユーザーの行動データを収集することができます。
具体的には、閲覧ページ、滞在時間、クリックした商品やボタンなどを記録することができます。これらのデータは、顧客の興味関心やニーズを把握するのに役立ちます。
3.2 CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の活用
CDPは、顧客との様々な接点から収集されたデータを統合し、分析・活用することで、顧客体験の向上や企業の収益増加に貢献するプラットフォームです。
CDPでは、Webサイトに来訪したユーザーの行動データやオフラインでの購買履歴、会員登録データなど、主に企業と直接的に関わったデータを収集します。
CDPについて詳しくはこちら
3.3 オフラインでの取得(セミナーなど)
セミナーやイベントなどのオフライン活動でも、ファーストパーティデータを収集することができます。
具体的には、セミナーやイベントへの参加を申し込む際に、オンラインまたはオフラインの登録フォームを使用して、参加者の名前、連絡先、会社名、役職などの情報を収集します。
また、終了後のアンケートやメールの反応やクリックデータも収集することが可能です。
収集したファーストパーティデータを有効活用することで、様々なマーケティング施策を実行することができます。ここでは、具体的な活用戦略をご紹介します。
4.1 マーケティング施策立案での活用
ファーストパーティデータに基づいて、顧客のニーズや課題を分析し、効果的なマーケティング施策を立案することができます。
具体的には、以下のような施策が考えられます。
・ターゲティング広告配信
・個別化されたメールマーケティング
・コンテンツマーケティング
・商品開発
4.2 見込み顧客の呼び込み
ファーストパーティデータに基づいて、顧客をセグメント化することができます。
自社のWEBサイトに蓄積した行動データから、自社のウェブサイト内で何らかの行動を取ったりしているものの、まだ最終的な目標行動(購入、登録、問い合わせなど)を完了していない見込み顧客を分類できます。
自社のWEBサイトの閲覧履歴、クリックパターン、滞在時間、興味のあるページなどに基づいて、特定の属性や行動パターンごとに分類(セグメント化)しています。例えば、以下のようなセグメントが考えられます。
・頻繁に特定の製品ページを訪問するユーザー
・カートに商品を追加したが購入に至らなかったユーザー
・ブログ記事や情報ページをよく閲覧するユーザー
セグメント化された顧客に対して、それぞれに合わせた育成施策を実行することで、見込み顧客を顧客へと育成することができます。
4.3 広告の最適化
広告の効果を最大化するための三要素は、ターゲティング・クリエイティブ・配信面です。
ファーストパーティデータを分析することで、これら三要素を以下のように最適化できます。
・ターゲティングの精度向上
ファーストパーティデータを活用することで、どの時期にどのような顧客に広告を配信すればよいのかが明確になります。これにより、興味を持っている顧客に対して効果的に広告を届けることができます。
・クリエイティブの最適化
顧客の行動データや興味関心に基づいて広告内容をカスタマイズできます。
例えば、特定の商品に興味を示した顧客には、その商品に関連する広告を作成することが可能です。
・配信面の最適化
顧客がよく利用するプラットフォームや時間帯を特定し、最適な場所とタイミングで広告を配信することができます。これにより、広告が効果的に表示される確率が高まります。
ファーストパーティデータを活用することで、適切なターゲットに、最適なタイミングと場所で広告を配信することで、無駄なコストを抑えた広告運用が実現されます。
マイクロアドでは、これまで国内最大級のDMP「UNIVERSE」を保有しており、200以上のサードパーティデータを連携・蓄積することで多種多様なデータを活用した広告配信サービスを提供してきました。
また、直近では新たにPost Cookie対応の一貫として、確定IDソリューションを介して企業のファーストパーティデータを使った広告配信にも対応しています。
加えて2024年3月に株式会社UNCOVER TRUTHと連結子会社化をしたことで、CDP事業にも注力し、データ事業を拡大しています。
ここでは、ファーストパーティデータである確定IDソリューションについて詳細を解説します。
確定ID
確定IDとは、ユーザー許諾を得たメールアドレスなどの情報を暗号化して生成される、ユーザーを識別するための新しいIDシステムです。
Cookieを活用しなくてもプライバシーに配慮した方法で精度の高いターゲティングができるソリューションです。
広告主は確定IDを活用することで、ユーザーの正確な興味や購買行動を把握でき、その情報に基づいてパーソナライズされたマーケティング戦略を展開することが可能です。
株式会社マイクロアドが提供をするデータプラットフォーム「UNIVERSE」と、広告配信プラットフォーム「UNIVERSE Ads」では、LiveRamp Japan株式会社が提供する、3rd Party Cookieに依存しないIDソリューション「RampID」と連携しております。
確定IDでは、プライバシーに配慮しながら「人」ベースでのマーケティングを実現することが可能です。
3rd Party Cookieが規制され、今後ファーストパーティデータの収集が重要性を増してきます。
当社の試算では3rd Party Cookie規制の影響は、日本のインターネット広告の市場規模2.4兆円のうち約1兆円程度まで拡大すると予測しております。
この1兆円規模の新たなPostCookie市場において、さまざまな施策が検討されていますが、その中でも重要視されているのが、今回解説したファーストパーティデータの活用です。
当社では、2024年3月に株式会社UNCOVER TRUTHと連結子会社化をいたしました。この子会社化により、ファーストパーティデータへのアクセスが初めて可能になりました。
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マイクロアドでは、潜在層へのアプローチによる新規顧客の獲得から、既存顧客のLTV最大化まで、PostCookie時代における、新しいマーケティングを実現します。
Cookieレスのマーケティングに取り組みたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!