【メディア運営者様必見】Privacy Sandboxとは?メディアへの影響を解説!
三谷 知里
2023年、マイクロアドに新卒入社。入社当初よりメディア向き合いの営業として、広告枠の導入支援やコンサルティングに従事。 現在はメディア向けに共通IDソリューションの拡販に従事。
こんにちは!Ads University編集部の三谷です。
ポストクッキーにおけるソリューションのひとつ、「Privacy Sandbox」をご存じでしょうか?「名前を聞いたことがあっても、どのようなものなのかいまいち把握しきれていない」といった方も多いのではないでしょうか。
今回はPrivacy Sandboxについて、メディアに及ぼす影響とメディアが取るべき対応について解説します!
▼こんな方におすすめです
・Webメディアの広告マネタイズご担当者様
・Cookieの代替ソリューションについて知りたい方
・Privacy Sandboxについて理解を深めたい方
目次を表示
- Privacy Sandboxとは
1.1 Privacy Sandboxが誕生した背景
1.2 3rd Party Cookieの現状 - Cookie規制がメディアに与える影響
2.1 代替ソリューション<①Privacy Sandbox/②共通ID> - Privacy Sandboxがメディアに与える影響
3.1 広告収益への影響
3.2 プログラマティック広告の仕組みが変わる
3.2.1 PPAPI
3.2.2 TopixAPI
3.3 プラットフォームが対応していない場合の影響は?
3.4 マイクロアドの対応
3.5 実績 - メディアに求められる対応
- メディアの収益最適化のご相談はこちらへ
「Privacy Sandbox」とは、3rd Party Cookieの代替となるソリューションとしてGoogleが提唱している技術です。
ユーザーのプライバシーと、広告による収益維持の両立を目指す仕組みとして注目を集めています。
1-1.Privacy Sandboxが誕生した背景
3rd Party Cookieの代替としてPrivacy Sandboxが生まれた背景には、Cookie活用によりユーザー情報が意図しない形で第三者に収集されていたことが挙げられます。
Cookie技術は、ユーザーの行動を複数のWebサイトの間で追跡することで、広告効果の測定やターゲティング精度の向上を支えています。
広告配信においては非常に有効ですが、ユーザーにとっては個人がトラッキングされているため、「ユーザーのプライバシーを脅かす懸念材料」として世界中で議論の対象となっています。
個人だけではなく、組織や国においても個人情報保護の動きは活発になっています。
2018年にEUで制定されたEU一般データ保護規則(GDPR)を筆頭に、アメリカや中国など世界各国で法律が制定されました。
このような時代の潮流もあり、ユーザーのプライバシー保護と広告のエコシステムを両立するソリューションとしてGoogleから発表されている技術がPrivacy Sandboxです。
1-2.3rd Party Cookieの現状
個人情報保護への意識の高まりに伴い、ブラウザでは3rd Party Cookieの規制が進められています。既にSafariにおいて3rd Party Cookieが無効化されており、2024年後半にはGoogle Chromeでもサポートが終了される予定となっています。
また、Google Chromeでは2024年1月4日にユーザーの1%に対して、3rd party Cookieを制限するテストを開始しています。
そのため3rd Party Cookieに依存してきたプログラマティック広告は、cookieに代わるような新たな形での配信を早急に模索していかなければなりません。
3rd Party Cookieが規制されることで、プログラマティック広告から収益を得ていたメディアは収益の減少が懸念されます。
これは、従来のターゲティングやコンバージョン計測が3rd Party Cookieありきだったことに起因しています。
Cookie規制によってターゲティングやコンバージョン計測が上手く機能しなくなるとなれば、広告主は従来のコストで同等の広告効果を得ることが難しくなります。
そうなると、広告主側で入札が抑えられることが予想され、これまでプログラマティック広告で収益を得ていたメディアにとって大きな打撃になります。
Googleからは、3rd Party Cookieの廃止によって、メディアの収益はこれまでの50%以上失われる可能性があるというデータが発表されています。
(参考:disabling_third-party_cookies_publisher_revenue.pdf)
実際にマイクロアドでもどの程度収益に影響し得るのか調査を行いました。
結果、Cookieを用いない配信と、Cookieを用いた配信を比較したところ、スマホデバイスで約75%、PCデバイスで約50%にまでCPMが減少しました。
このため、Cookie規制への対応はメディアが存続していくうえで避けられない喫緊の課題となっています。
▼Cookie規制の影響について詳しく知りたい方はこちら。
「収益が減少してしまう恐れも!?3rd Party Cookie規制によるメディア側への影響とは」
2-1.代替ソリューション
メディアが受ける影響を緩和するためには、前もってCookie規制への対応を進めていかなければなりません。
自社の運営するウェブメディアを再構築したり、3rd Party Cookieに代わるようなソリューションを活用していくなどの施策を検討する必要があります。
既にポストクッキーの対応を始めているメディアでは、具体的な対策として大きく4つの方針を取るケースが多くなっています。
<メディアの収益化を支えるソリューション>
1: 3rd Party Cookieに依存しない、Privacy Sandboxへの対応
2:純広告やPR記事を含む広告商品の配信強化
3:Zero Party Data及び、1st Party Dataの増加(※)
4:共通IDソリューションの導入
※Zero Party Data/ユーザーが自ら企業へ提供するデータ。1st Party Data/企業が直接顧客から取得し保有するデータ。
この中でも、今回の記事ではPrivacy Sandboxへの対応について紹介します。
共通IDについても本ブログで解説しておりますので、ご興味がある方はご覧ください。
▼共通IDについて詳しく知りたい方はこちら。
3-1.広告収益への影響
Privacy Sandboxを活用することで、Cookie規制に伴う広告収益の減少をリカバリーできる可能性があります。
しかし、Privacy Sandboxを完全な3rd Party Cookieの代替と見なすことはできません。
その理由として、Privacy Sandboxの仕組みを説明します。
3-2.プログラマティック広告の仕組みが変わる
Privacy Sandboxにおいては様々な技術が開発されています。
なかでもメディアのマネタイズと関わりの深い2つの仕組みをピックアップし、それぞれの役割を紹介いたします。
3-2-1.PAAPI(Protected Audience API)
PAAPI(Protected Audience API)とは、従来のリターゲティングを代替する技術です。
3rd Party Cookieがなくとも、コンバージョンまで至らなかったり、ショッピングカートを放棄したユーザーに対してこれまでのようなアプローチをすることが可能です。
しかし、PAAPIが従来の3rd Party Cookieを活用した配信と全く異なる点は、入札の仕組みにあります。
PAAPIでは従来のRTBオークションのような仕組みをChromeブラウザ側の処理で行い、プライバシーに配慮した最低限の結果のみを各ネットワーク事業者へと送信する仕組みとなっています。
ネットワーク事業者は従来のCookieを用いた配信と比較し、欠損している、もしくはノイズが含まれた情報を参照データとしアルゴリズム等に組み込むこととなるため、広告効果への影響が懸念されます。
そのため、3rd Party Cookieでの配信時と比べて広告効果が悪化することで、CPMの単価が上がりにくくなる可能性があります。
3-2-2. Topic API
Topics APIは、従来のオーディエンスターゲティングの代替技術です。
オーディエンスターゲティングとは、広告を誰に配信するのかを決める手法です。
それぞれの広告媒体ごとに蓄積しているユーザーの属性情報や行動履歴などを基に広告を配信します。
Topics APIでは、ブラウザ側で事前に指定したトピックが割り振られるため、ユーザーを特定することはありません。プライバシー保護を維持しつつ、ユーザーの閲覧データや興味関心に基づいた配信が実現できるのがメリットです。
但し、ターゲティングの精度としては3rd Party Cookieより劣ってしまうため、PAAPIと同様に、3rd Party Cookieでの配信時と比べて単価が上がりにくくなることが予想されます。
いずれも単価面で懸念は残るものの、ユーザーのプライバシー保護という観点で見れば、よりユーザーに配慮した形で配信が行われるようになることは間違いありません。
3-3.プラットフォームが対応していない場合の影響は?
Privacy Sandboxへの対応は、メディアではなく主にSSP等の事業者が行います。
そのため、仮に広告プラットフォームがPrivacy Sandboxに対応していない場合は、メディアはこれまで高い単価で配信できていた在庫を失う懸念があります。
既に広告プラットフォームを活用してマネタイズを行っている方やこれから利用しようと考えている方は、最新の技術に積極的に対応している広告プラットフォームを選ぶことで、Cookieレスの影響幅を少なく抑えることが可能です。
3-4.マイクロアドの対応
マイクロアドでは、業界に先駆けて、メディア側と広告主側の両軸でPrivacy Sandboxを活用した広告配信システムの構築を進めています。
メディアの広告収益化プラットフォーム「COMPASS」では、2024年1月現在で「Protected Audience API」への対応が完了しています。
これにより、COMPASSを利用するメディア企業は、3rd Party Cookieに依存しない方法でのリターゲティングによって収益化を実現することが可能になります。
▼プレスリリースはこちら。
「マイクロアドが提供する各プラットフォームにおいて、 Google Chromeの「Privacy Sandbox」への対応が完了 ~Cookieを利用しない広告配信や効果計測の機能を提供開始~」
PrivacySandboxは、ポストクッキー時代において主要なソリューションのひとつになってくるでしょう。
Cookie規制に伴う打撃を減少させるためには、PrivacySandboxに対応した事業者選びが必要になります。
しかし、Cookieの完全な代替となる技術は存在せず、各メディアはPrivacySandbox含む有効な対策を探していかなければなりません。
そのためには、3rd Party Cookieが無くなることで現状の在庫にどのような影響があるのか、またその背景にある仕組みの部分を把握しておく必要があります。
例えば、PrivacySandboxにおいては、各APIで実現できることの整理や実装の方法、想定されるメリットやデメリットの議論ができるようになれば、これからの自社メディアの戦略を構築しやすいのではないでしょうか。
そのうえで、各事業者の対応状況をキャッチアップし、GoogleによるPrivacySandboxや共通IDソリューション含むその他の対策を組み合わせ、統合的な対策を取っていくことが重要です。
ポストクッキー時代に上手く対応していくためには、今回ご紹介したPrivacy Sandboxだけではなく、他の代替ソリューションを理解し自社のマーケティングに適したものをテストすることが重要です。
マイクロアドでは、メディアのコンサル事業を展開しています。
ポストクッキーの広告ソリューションに関してご興味がある方やメディアの収益最適化についてお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!