収益が減少してしまう恐れも!?3rd Party Cookie規制によるメディア側への影響とは
三谷 知里
2023年、マイクロアドに新卒入社。入社当初よりメディア向き合いの営業として、広告枠の導入支援やコンサルティングに従事。 現在はメディア向けに共通IDソリューションの拡販に従事。
近年、個人情報保護の観点からAppleや各Webブラウザでは3rd Party Cookieの利用に関する規制を強化しています。
3rd Party Cookie排除への流れが決定的となる中で、具体的にメディアビジネスにおいてどのような影響があるのか、またPostCookieに向けてとるべき対応を解説します。
目次を表示
- 3rd Party Cookieとは?
- Cookie規制がメディアに与える影響
2.1 ターゲティング精度の低下
2.2 コンバージョン計測が困難になる - メディアに求められる対応
3.1 代替ソリューションの検討 - まとめ
Cookie規制の対象になっている3rd Party Cookieとは、ウェブサイトを訪れたユーザーに関する情報を収集するための仕組みです。
1st Party CookieがアクセスしたWebサイトで発行され、そのWebサイトのみが情報を保存できるのに対し、3rd Party Cookieはユーザーが訪れたWebサイト以外のドメインが発行します。
3rd Party Cookieを利用することで、ユーザーのサイト外での行動を追跡し、ユーザーの好みや行動履歴に基づいてパーソナライズさせた広告配信が可能になります。
しかし、2023年11月現在では、Safariにおいて3rd Party Cookieが無効化、Google Chromeでも2024年の後半までに段階的にサードパーティクッキーを廃止をすることが発表されています。
Cookieについては以下のページで詳しく解説しています。
3rd Party Cookieの廃止によって、メディアの収益はこれまでの50%以上失われる可能性があるというデータがGoogleから発表されました。
(参考:Effect of disabling third-party cookies on publisher revenue)
この収益減少の背景には大きく2つの要因が考えられています。
2.1 ターゲティング精度の低下
これまでのインターネット広告は、3rd Party Cookieによってユーザーの行動を追跡し、狙ったユーザーに広告を表示させることで、コンバージョン率を高めていました。
しかし、3rd Party Cookieが廃止されると、ターゲティングを使ってポジティブな反応が期待できるユーザーに広告を表示させることが出来なくなり、コンバージョン率の向上は困難になります。
広告主は従来のコストで同等の広告効果を得ることが難しくなるため、広告出稿が減少してしまうことが想定されます。デマンド側での入札が抑えられれば、広告単価の向上は見込めず、結果としてメディアの収益減少に繋がってしまうのです。
2.2 コンバージョン計測が困難になる
3rd Party Cookieの廃止は、コンバージョン計測にも影響を及ぼします。
コンバージョン計測には3rd Party Cookieが使われてきたため、従来通りの効果計測を行うことが難しくなります。
これにより、広告主側ではKPIが不透明化し、広告予算自体が縮小されていくことが懸念されています。そうなれば、CPMの下落やメディアの収益減少は避けられないでしょう。
実際にマイクロアドで調査したデータでは、3rd Party Cookieを使わない配信において、3rd Party Cookieが有効な配信と比較してスマホデバイスで70%以上、PCデバイスで約半分にまでCPMが落ち込んでしまっています。
(2022年12月のDSP落札CPM平均から抽出)
このように、インターネット広告を使ってマネタイズを行うメディアにとってCookie規制による弊害は非常に大きなものになると予想できます。
3.1 代替ソリューションの検討
メディアはまさにいま3rd party Cookieに依存しない体制を構築していく必要に迫られ、かつてない転換点を迎えています。
既にPostCookieの対応を始めているメディアでは、具体的な対策として大きく4つの方針を取るケースが多くなっています。その中でもとりわけ、3rd party Cookieを使用せずとも従来のような広告配信を行える、「共通ID」を活用した新しい運用方法に注目が集まっています。
<メディアの収益化を支えるソリューション>
1: 3rd Party Cookieに依存しない、Privacy Sandboxへの対応
2:純広告やPR記事を含む広告商品の配信強化
3:Zero Party Data及び、1st Party Dataの増加(※)
4:共通IDソリューションの導入
※Zero Party Data/ユーザーが自ら企業へ提供するデータ。1st Party Data/企業が直接顧客から取得し保有するデータ。
Cookieの代替ソリューションの中でも、特に注目の集まっている共通IDによる広告運用では、プライバシーを保護しながらCookieを用いないターゲティング広告配信を行います。
そのため、共通IDソリューションは、2024年のChromeによる3rd Party Cookieの廃止に対応するためだけでなく、SafariにおけるCookie規制の影響を受け、現段階でCPMの下落が顕著なiOSデバイスにおいても有効なソリューションです。
また、共通IDは、生成方法によって「確定ID」と「推定ID」の2つに大別されています。
一方の「確定ID」は、メールアドレスを基軸に、個人を特定できない非可逆なIDに変換し、生成されるIDです。
よって、ターゲティング精度が高く広告の効果が出やすいことがメリットですが、メディアの保有しているデータ量に依存している点に課題が残っています。
もう一方の「推定ID」は、ユーザーがサイトにアクセスしたときのアクセス情報を元にIDを生成します。
ID生成のハードルが低いため、カバレッジ面で期待できますが、確定IDと比較するとターゲティング精度は劣ってしまいます。
メディアに求められるPostCookie時代のマネタイズのひとつは、この性質の異なる「確定ID」と「推定ID」を上手く取り入れ、活かしていくことです。
3rd Party Cookieの廃止は多くのメディアにとって死活問題といえますが、新しいソリューションを検討し、従来のマネタイズ戦略の全体を見直すことが、成果を出し続けるためには重要になります。
共通IDソリューションについては以下のページで詳しく解説しています。
確定IDをベースとしたソリューションについても詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
「確定IDをベースとしたCookie代替ソリューションとは?注目のRampIDを徹底解説!」
ここまで解説してきたように、3rd party Cookieの利用制限の流れは止まることなく、インターネット広告でのマネタイズは厳しさを増していくことが予想されます。
PostCookie対策は一朝一夕で完全に対応できるものではないからこそ、今から対応を始めることが重要になります。
マイクロアドでは、メディアマネタイズを支援するため、様々なCookie代替ソリューションへの対応を進めています。
PostCookie時代の新しい広告ソリューションに関してご興味がある方、ぜひお気軽にお問い合わせください!