【セミナーレポート】プライバシーサンドボックス入門セミナー
松谷 有紗
2021年、マイクロアドに新卒入社。入社当初よりマーケティング活動に従事しており、リード獲得数の伸長に貢献。広告運用やイベント企画、サイト制作・運用やブログ執筆など、マーケティング全般に携わる。
【前段】
Chromeのユーザーの1%に対して、3rd Party Cookieのサポートが無効化されて早3ヶ月が経ちました。
現在Cookieに代わる策がさまざま提唱されている中、Google社が提供する「プライバシーサンドボックス」は、ユーザーのプライバシー保護の強化と広告効果の最大化の両立を目指す、業界全体の取り組みです。
本セミナーでは、Cookie規制による広告業界への影響と、プライバシーサンドボックスの概要や活用方法、デジタル広告市場の展望をお伝えいたしました。
【概要】
■タイトル
クッキーレス時代の勝利の方程式 - コンテンツ×ターゲティング×データ活用
■実施日
2024年4月9日(木)11:00-11:45
■対象者
・Cookie規制による広告業界への影響を知りたい方
・プライバシーサンドボックスの概要を体系的に把握したい方
・プライバシーサンドボックスの活用方法を知りたい方
■申込者数:82名
■プログラム
1, 3rd Party Cookie廃⽌の背景と影響
2, Post Cookieの対応策
3, Privacy Sandboxとは
4, マイクロアドのPrivacy Sandbox対応
5, まとめ
■登壇者紹介
目次を表示
■セミナーレポート
■アンケート結果
■参加者とのQ&A ※一部抜粋
前半は3rdPartyCookie廃⽌の背景と影響、後半はPrivacy SandboxのAPIとテスト配信結果をお伝えしました。
ここからは、当日の解説を一部ピックアップしてお伝えします。
■3rd Party Cookie廃⽌の背景と影響
伊高:Cookieには、1st Party Cookie と 3rd Party Cookieの2種類があり、発⾏主体者や⽤途が異なります。
今回規制される3rd Party Cookieは、ユーザーのプライバシー保護を目的として廃止予定です。
2024年4月現在、SafariやEdgeなど各種ブラウザで「3rd Party Cookieの制限」が実施済み、もしくは予定されています。
2017年にApple社が「ITP」を発表し、Safariで 3rd Party Cookie取得制限をしたことを皮切りに、各種プラットフォームが対応を進めています。
同時に各国で個人情報に関する法律が施行され、日本では2022年に改正個⼈情報保護法及び改正電気通信事業法が施⾏されました。
Google社は2025年初頭から順次廃⽌というスケジュールで現状予定されています。
(※2024年4月現在)
3rd Party Cookie廃⽌の背景と影響の詳細はこちら
■Post Cookieの対応策
伊高:上記のCookie規制を受けて、世の中の代表的なPost Cookie対策は以下の3通りに分けられます。
① 集団単位に丸めた配信⼿法を新たに構築する
例)Privacy Sandbox
② ユーザー許諾を得た識別⼦を利⽤する
例)共通IDソリューション
③ ⼈単位でターゲティングしない
例)コンテキスチュアルターゲティング
いずれもCookieに置き換わる技術で、ターゲティングや効果計測を実現します。
■Privacy Sandboxとは
寺谷:ここからはPrivacy Sandboxの概要と主要API、そして弊社での対応を説明させていただきます。
PrivacySandboxとは、Google社が3rdPartyCookie廃⽌に伴って提唱するユーザーのプライバシー保護と広告による収益の両⽴を⽬指す仕組みです。
現在、30個以上のAPI(※)が発表もしくは提供されています。
※API…ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐ仕組み。Application Programming Interface (アプリケーション・プログラミング・インタフェース) の略。
2023年7⽉からChromeブラウザの本番環境にて各種APIがリリース済みです。
ここで記載しているのは、広告配信関連での主要APIです。
① Protected Audience API
寺谷:Protected Audience APIは、Cookieがなくてもリターゲティング広告ができる機能です。ブラウザでオークションを行った後にリターゲティング配信を行います。
② Topics API
寺谷: Topics APIは興味関心に基づいたターゲティング広告ができる機能です。
各種閲覧履歴を利用して、プライバシー保護を維持した上で配信を実現します。
③ Attribution Reporting API
寺谷:Cookieが規制されると、インプレッションやクリックは従来通り各プラットフォーム側で計測が可能ですが、コンバージョンの計測は難しくなってしまいます。
そこで、Google社は代替機能としてAttribution Reporting APIをリリースし、コンバージョン計測の機能を提供している状況です。
現在「サマリーレポート」と「イベントレベルレポート」の2種類のレポートを提供しております。
※広告関連APIの詳細はこちら
■マイクロアドのPrivacy Sandboxテスト結果
寺谷:当社では、2023年10⽉にProtected Audience APIとAttribution Reporting APIを先⾏リリースしております。
直近2ヶ月のテスト配信を行い、リターゲティング広告でCookie配信との⽐較を実施しました。
結果として、3rd Party Cookie配信と比較して、Protected Audience API(PAAPI)の配信は、CPAが1.5倍程度高騰しています。
PAAPIの仕組み上、Cookie比で同水準は難しいため、広告事業者はユーザー情報の取得が制限されている環境下でいかに予測精度を上げていくかというアプローチを行いつつ、広告主や代理店様はサービスごとの数値感を踏まえたマーケティング施策の見直しが都度必要になります。
■まとめ:3rd Party Cookieが残っている期間で比較検証を行うことが肝!
3rd Party Cookie規制は早ければ今年の夏に開始予定です。
サービスごとに選択すべきソリューションや数値感は異なってくるため、Cookieが利用できる期間内に、CookieとNon Cookieとの比較検証をすることが重要です。
現在マイクロアドでは、リターゲティング広告の代替としてPrivacy Sandboxに関するお問い合わせを多数いただいております。
来る2024年夏のCookie規制に向けて、「Privacy Sandboxを活用した広告配信をしたい!」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
今回のウェビナーでは、申込者様に事前・事後アンケートにご回答していただきました。
本ウェビナーでのプライバシーサンドボックスの概要は理解促進につながったと言えます。
しかし、まだ活用イメージがついていないという印象を受けました。
当社でプライバシーサンドボックスを活用した広告配信を行う際、代理店様及び広告主様にご対応いただくことは、タグの設置のみとなっております。
ぜひお気軽にご相談ください!
本編終了後の質問コーナーでは、10個以上の質問をいただきました。
ここからは、本ウェビナーで頂いた質問を数個ピックアップしてご回答いたします。
【業界知識について】
Q, Chromeで3rdパーティークッキー利用が廃止されたら、これまで蓄積したオーディエンスはすぐに利用できなくなるのでしょうか?
A, あるタイミングから3rd Party Cookieの取得が一斉に制限されるわけではなく、段階的に取得率が下がっていくと思われます。
そのため、3rd Party Cookieで蓄積しているオーディエンスは徐々に利用ができなくなっていくと思われます。
Q, AR APIのCV欠損率の想定などありますでしょうか?
A, 具体的な数値は検証中ですが、ARAPIの匿名性を担保するという仕様上、計測対象の成果地点が増えた場合などは、Googleから通知されるCV数が本来のCV数と比較して乖離する可能性があります。
Q, デモグラ(性別・年代)の取得粒度も悪くなるのか気になりました。
A, デモグラに関しては Protected Audience APIでは利用ができなくなります。
共通IDソリューションではデモグラ取得が可能です。
Q, PAAPIの実装方法やインタレストグループのターゲティング情報の中身、オークションロジックなど詳しく知りたいです。
A, 動画を掲載しておりますので、詳細はこちらからご確認ください。
【マイクロアドの対応について】
Q, 弊社でプライバシーサンドボックスを利用した場合の配信先は、マイクロアドさんが連携している全てのSSPという理解で良いでしょうか?
A, 現状は当社SSPの「COMPASS」のみへの配信になります。
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