Cookieレス対策「Privacy Sandbox」とは?

ユーザーが訪問しているWebサイトとは異なる第三者が発行する「3rd Party Cookie」の取得に制限をかける動きが高まっています。

 

これまでWebサイト運営者や広告主は、主に3rd Party Cookieを用いて行動データなどの情報を取得してきました。

しかしながら、iOSでは2020年に3rd Party Cookieが完全にブロックされ、Googleでも2024年より段階的に3rd Party Cookieを規制していくと発表しています。

 

3rd Party Cookieが規制されると、広告においては主にターゲティングと効果計測に影響を及ぼします。

本記事では、Cookie規制が及ぼす影響とその対策について解説します。

 

ユーザーのプライバシー保護を強化するGoogleの取り組み「Privacy Sandbox」についても詳しく解説しています。

記事の後半ではCookieに依存しない広告配信プラットフォーム「UNIVERSE Ads」をご紹介しますので、併せてご覧ください。

 

目次を表示

  1.  Cookieレスが及ぼす影響とは
     1.1 Cookieレスの進捗状況
     1.2 行動履歴を基にしたターゲティング技術が制限される
     1.3 コンバージョン計測の一部が制限される

  2.  Cookieレスへの対策方法とは
     2.1 共通IDソリューション
     2.2 Contextual Targeting
     2.3 Privacy Sandbox

  3.  Google提唱のPrivacy Sandboxとは
     3.1 Protected Audience API(PAAPI)
     3.2 Topics API
     3.3 Attribution Reporting API(ARAPI)

  4.  Cookieに依存しない広告配信プラットフォーム「UNIVERSE Ads」
     4.1 マーケティングプラットフォームと連携
     4.2 Privacy Sandboxにも対応

  5.  まとめ


1.Cookieレスが及ぼす影響とは



Cookieとは、Webサイトを閲覧したユーザーのコンピューターに一時的にユーザー情報を保存する仕組みです。3rd Party Cookieが規制されると、自社サイトを訪れたユーザーの行動追跡ができません。


それゆえ、ユーザーの興味関心を特定する精度が低下し、Web広告の費用対効果にも影響を及ぼす恐れがあります。ここからは、Cookieレスの現時点での進捗状況と、具体的にどのような影響を及ぼすのかを解説します。

 


1.1 Cookieレスの進捗状況



iOS(Apple)では、すでに3rd Party Cookieは廃止されています。

GoogleはブラウザのChrome において、2024年1月4日からWebサイト間トラッキングを防止するトラッキング保護機能のテストを開始しました。


全世界のGoogle Chromeを使用しているユーザーの1%が、3rdParty Cookieへのアクセスをデフォルトで制限されます。


statcounteの2023年に行なった統計によると、日本のモバイルデバイスにおけるブラウザ利用シェア率は、Safariで61.6%、Chromeで32.7%という結果になっています。


 

ChromeとSafariだけで全体の90%を占めており、両者はCookie規制においてリターゲティングが不可になっています。


そのため、モバイルブラウザにおいてはCookieを用いたターゲティングは、2024年8月末から段階的に活用ができなくなります。


2024年3月現在でのスケジュールは以下のようになります。

 

3rd Party Cookieの規制スケジュール



1.2 行動履歴を基にしたターゲティング技術が制限される



Cookieレスの状態になると、ユーザーの行動履歴を保存する役割を持っていた3rd Party Cookieが使用できなくなります。

それゆえ、ユーザーがWebサイトでどのような行動をしているのかを複数サイトを横断して把握することができません。これにより、ユーザーの行動履歴や傾向からターゲティングをおこなう技術に制約がかかります。



1.3 コンバージョン計測の一部が制限される



Cookieレスの状態では複数のサイトを横断したデータが獲得できず、ユーザーを追跡したコンバージョン計測やアトリビューション計測が困難になります。


コンバージョン計測の一部が制限されるため、デジタルマーケティングへの影響も少なくありません。規制への対応として、企業は新しい追跡方法や技術への移行を考える必要があります。

 


2.Cookieレスへの対策方法とは



Cookieレスの影響を解消するための対策として、様々な代替手段が登場しています。

現在3rd Party Cookieを活用しないターゲティング手法においては、大きく3つの方法があります。

 

3rd Party Cookieを活用しないターゲティング手法


その中でも、今回は代表的なものをそれぞれ紹介します。

 


2.1 共通IDソリューション



共通IDソリューションは、3rd Party Cookieと同様にユーザーの興味や購買行動を把握できるIDを生成する仕組みです。

 

Cookieレスにより影響を受けるターゲティング技術を補うために開発されたソリューションです。ターゲティング手法は、上記①の個人単位でのターゲティングに分類されます。

共通IDソリューションは以下の2種類が挙げられます。


  • ・確定ID:メールアドレス・電話番号・会員IDなどの確定情報からIDを生成
  • ・推定(類推)ID:Web上で得られるユーザーの行動やデバイスの種類などの情報からIDを生成

これら2つのIDを総称して「共通IDソリューション」と呼びます。



2.2 Contextual Targeting



Contextual Targeting(コンテクスチュアルターゲティング)は、コンテンツの文脈(コンテキスト)から分析し、ターゲティングする手法です。

ターゲティング手法は、上記②の枠や面でのターゲティングに分類されます。


Webサイトのキーワードや文章・画像などを分析して配信する広告を、コンテクスチュアル広告といいます。


ユーザーの情報や行動履歴を収集することなく、Webページの内容に基づいて広告を表示するため、ユーザーのプライバシーを保護できます。



2.3 Privacy Sandbox



Cookieレスの対策として、Google社は「Privacy Sandbox」を提唱しています。

ターゲティング手法は、上記③の集団単位でのターゲティングに分類されます。


2018年のEU一般データ保護規則「GDPR」制定以降、ユーザーのプライバシー保護が重要だと考えられるようになりました。


Google社もユーザープライバシーを保護するために、2024年8月末よりブラウザの「Google Chrome」において3rd Party Cookieを廃止することを予定しています。。


主にリターゲティング広告や効果計測に影響を与えるため、Googleは新たにユーザーのプライバシーの保護を担保しつつ広告を効率よく配信する仕組み「Privacy Sandbox」を提唱するに至りました。

次章でPrivacy Sandboxについて詳しく解説します。

 


3.Google提唱のPrivacy Sandboxとは



Googleが提唱しているPrivacy Sandboxは、ユーザーのプライバシー保護と広告による広告効果の最大化の両立を目指す仕組みです。


これまでは3rdPartyCookieを介して広告事業者などがユーザー情報を保持していましたが、PrivacySandboxではユーザーを識別する処理はブラウザ内に閉じた状態で実行され、ユーザーのプライバシー保護が実現されています。


ユーザーのデータが広告事業者に集約されず、集団単位でターゲティングされるのが特徴です。


2023年7月からブラウザで各種APIがリリースされています。Privacy Sandboxの代表的な3つのAPIの機能や内容を解説します。

 Privacy Sandboxの代表的な3つのAPIの機能や内容

 

 

3.1 Protected Audience API(PAAPI)



Protected Audience API(PAAPI)は、リターゲティングの代替技術です。


これまでの広告オークションは、基本的にDSP/SSP側で情報(Cookie)を集約して実施していました。


PAAPIでは基本的にはブラウザ側のみでオークションが完結するため、プライバシーを担保しつつリターゲティングが可能です。


従来のRTBでは、サーバー間での広告オークションが一般的でしたが、ブラウザ内でのオークションになることで、ブラウザに保存される広告情報をもとにオークションが行われます。



3rd Party Cookieの廃止を前に、各広告配信プラットフォームはCookieを利用しない新しいリターゲティング手法であるProtected Audience APIへの対応が急務です。



3.2 Topics API



Topics APIは、オーディエンスターゲティングの代替技術と言われています。


Topics APIでは、Web閲覧履歴からブラウザごとの興味関心トピックを類推してターゲティングし、広告配信に活用することが可能です。



Topics APIでは、ユーザーの閲覧行動に応じて、ブラウザを既存のトピックに割り振るため、ユーザーを特定することはありません。

 

具体的なトピックの種類には「フィットネス」「旅行」「自動車」「本」「コミック・アニメ」などがあり、このトピック情報はGoogleを始めとする外部のサーバーと共有されず、完全にデバイス上で選択されます。


そのため、プライバシー保護を維持しつつ、ユーザーの閲覧データや興味関心に基づいた配信が実現できるのがメリットです。



3.3 Attribution Reporting API(ARAPI)



Attribution Reporting APIは、レポート計測の代替技術です。


広告の計測では3rd Party Cookieのデータを活用しているケースが多いため、Cookieレスになると広告効果の計測にも影響を及ぼします。 


Attribution Reporting APIはユーザーのプライバシー保護を担保しつつ、アトリビューションやコンバージョンの測定ができるように設計されています。効果計測のためのAPIとして、以下の2種類のレポート機能が提供されています。


  • イベントレベルレポート:特定の広告クリックや表示に対して、個々のコンバージョンの詳細データが提供される
  • サマリレポート:一定期間内の広告クリックや表示に対して、日別や広告単位などの大きな粒度でコンバージョンのデータが提供される

それぞれのレポートには、コンバージョンと対応する広告ビューやクリックに関するデータが含まれます。


Privacy Sandboxでは、限定および匿名化されたイベントレベルレポートに加え、粒度の高いデータをより素早く提供するサマリレポートが利用可能です。


ただし、イベントレベルレポートは発生ベースで計測が行われるため、計測期間は最大30日の遅延があり、レポートに含めることのできる情報量 (コンバージョン、購入金額など) は制限されます。


詳細はこちら:https://post-cookie.microad.jp/blog/8-privacysandbox-api#a-3

 


4.Cookieに依存しない広告配信プラットフォーム「UNIVERSE Ads」



「UNIVERSE Ads」とは、マイクロアドが提供する広告配信プラットフォームです。国内最大級の在庫数を保有する配信ネットワークを活用し、効率的な広告配信が可能です。


マイクロアドは「UNIVERSE Ads」のほかにもSSP「MicroAd COMPASS」を運営しています。マイクロアドはDSP・SSPともに保有しており、広告収益を最大化する仕組みが整っています。

 


4.1 マーケティングプラットフォームと連携



「UNIVERSE Ads」は同じくマイクロアドが提供するマーケティングデータプラットフォーム「UNIVERSE」と連携しています。提携する約200の企業から収集・集約した消費者のライフスタイルデータを活用できるのが強みです。



4.2 Privacy Sandboxにも対応



「UNIVERSE Ads」と「MicroAd COMPASS」は、広告配信業界でもいち早くPrivacy Sandboxに対応しています。それゆえ、3rd Party Cookieを使用せずに、ターゲティング広告配信と効果計測が可能です。



5. まとめ

 

 

プライバシー保護の観点から、Cookieによる情報収集が制限されるようになりました。

これによって行動履歴を基にしたターゲティング技術が制限され、コンバージョン精度が低下するなどの影響を受けています。


Cookieレスの対策方法として、Googleが提唱するPrivacy Sandboxが注目を集めています。Privacy Sandboxはユーザーのプライバシー保護と広告による収益の両立を目指す仕組みです。


「UNIVERSE Ads」はいち早くPrivacy Sandboxにも対応した広告プラットフォームです。Cookieの利用の規制後も、プライバシーに配慮したターゲティング広告配信や効果計測が可能です。


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