CMPツールの役割・機能・導入手順や導入メリットについて解説
Ads Universityブログ編集部
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Webサイトを閲覧した際に、「当サイトはCookieを使用します」といった表示とともに、同意の有無を選択できるポップアップバナーを見かけるケースが増えました。このような個人データ収集に関する同意を得るためのプラットフォームを「CMPツール」と呼びます。
本記事では、CMPツールが注目されるようになった背景やCMPツールを導入するメリット・デメリット・課題について詳説します。加えて、CMPツールの機能・役割のほか、導入手順やCMPツールを選定する際のポイントについて解説しています。
目次を表示
- CMPツールとは
- CMPツールが注目されるようになった背景
2.1 世界的なプライバシー保護規制の強化
2.2 3rd Party Cookie規制の動き
2.3 日本における個人情報に関する法改正 - CMPツールを導入するメリット・デメリットと課題
3.1 CMPツールを導入するメリット・デメリット
3.2 CMPツールを導入する際の課題 - CMPツールの機能・役割
4.1 同意情報の取得・管理
4.2 外部システムとの連携
4.3 同意取得バナーの作成・実装
4.4 同意状況の分析 - CMPツールの導入手順
5.1 Cookieの整理とプライバシーポリシーの策定
5.2 CMPツールの選定・実装 - CMPツールを選定する際のポイント
6.1 各国の規制への対応
6.2 機能性
6.3 サポート体制 6.4 利用料金 - マルチIDでの広告配信が可能なサービス「UNIVERSE Ads」
- まとめ
CMP(Consent Management Platform)とは、Webサイトやアプリのユーザーから、Cookie等の個人データ収集に関する同意を得るためのプラットフォームを指します。
同意取得を求める下記画像のようなバナーがページ下部に表示されるパターンや、画面の中央にポップアップ形式で表示されるパターンなど、企業によって表示方法は異なります。
近年、CMPツールが注目されるようになった背景として、プライバシー保護の厳格化が挙げられます。本章では、国内外のプライバシー保護に関する法規制の動向と企業の対応について解説します。
2.1 世界的なプライバシー保護規制の強化
2018年に、ヨーロッパ経済領域で適用される個人データ保護に関する法律「GDPR(General Data Protection Regulation)」が施行されました。
これによって、以下が保護すべき個人データとして定義されるようになり、これらの情報を取得・処理する際には事前の同意取得が必須になりました。
・氏名・生年月日
・住所・電話番号・メールアドレス
・IPアドレス
・Cookieデータ
特に、マーケティングやユーザー分析に活用されているCookieの同意取得に関して、EU域内に商品販売やサービス提供をおこなう企業は対応を求められるようになりました。
また、2020年には、アメリカのカリフォルニア州で住民の個人情報保護を目的とした法律「CCPA(California Consumer Privacy Act:)」が導入されました。CCPAの下では、企業は収集する個人情報の種類や利用目的などを通知する義務が生じます。
CCPAはGDPRとは異なり、個人情報収集や利用に対して制限を課していませんが、利用者が要求した場合は45日以内にデータの開示・削除に対応しなければなりません。
近年、CMPツールが注目されるようになった背景として、プライバシー保護の厳格化が挙げられます。本章では、国内外のプライバシー保護に関する法規制の動向と企業の対応について解説します。
2.2 3rd Party Cookie規制の動き
Cookieとは、ユーザーの入力したデータやWebサイトの閲覧履歴をブラウザ内に一時的に保管できるテキストファイルを指します。3rd Party Cookieとは、Webサイト内の広告などの第三者ドメインが発行するCookieのことです。
広告配信業者は、この3rd Party Cookieをユーザー個々の興味に合わせた広告配信をおこなう「ターゲティング広告」などに利用してきました。
しかし、プライバシー侵害の観点から問題視され、近年Apple・Googleなどのブラウザが3rd Party Cookieの利用を自主規制するようになっています。
Cookieについて詳しくはこちら
2.3 日本における個人情報に関する法改正
日本でも海外の動きに追随するように、個人情報に関する法改正がおこなわれています。
2022年4月の改正個人情報保護法が施行により、新たに「個人関連情報」が定義されました。
個人関連情報には、性別・年齢・職業等の個人の属性情報や個人の位置情報に加えて、Cookieが該当します。
企業がCookieを通じて個人関連情報と外部データを紐付ける場合に、本人の同意取得が義務付けられるようになりました。
さらに、2023年6月の改正電気通信事業法の施行により、利用者情報の「外部送信規律」が追加されました。これは、ユーザーの端末やブラウザなどから第三者に送信される情報に関する規制です。
第三者に送信される情報の内容や送信先・利用目的などについて、事前に本人確認の機会を付与する義務が生じます。
上記の法規制に対応するために、企業はユーザーの個人データの同意取得ならびに管理体制の構築が急務となっています。
ユーザーの同意取得には、以下のような対策が求められます。
- ・プライバシーポリシーやサービス利用規約等のユーザーが容易にアクセスできるページに同意内容を記載
- ・ポップアップで同意取得を表示する
企業がこれらの対策を講じるうえで有効な手段として、CMPツールの導入が進んでいます。
ユーザープライバシーに関する法律の変化について詳しくはこちら
上記背景からCMPツールに注目が集まり、導入する企業が増えています。
ここでは、CMPツールを導入するメリット・デメリットと導入する際の課題について解説します。
3.1 CMPツールを導入するメリット・デメリット
CMPツールを企業が導入するメリットは、ユーザーの同意を得た状態でのデータ取得と利活用ができる点です。
また、ユーザーからの各種開示請求等の法的な要請に対応しやすくなります。
ユーザー側のメリットとして、プライバシー保護が担保される点が挙げられます。
個人データがどのように使用されるかなどを確認したうえでサイトの利用が可能です。個人データを使用されたくない場合は、拒否したうえでサイトを訪問できます。
CMPツールを企業が導入するデメリットは、導入コストがかかる点です。導入費用は、PV・ドメイン数や利用できる機能などによって変動します。
3.2 CMPツールを導入する際の課題
CMPツールを企業が導入する際の課題として、Webサイトの膨大なタグの整理・分類が煩雑な点が挙げられます。
各種タグの制御設定には手間や時間がかかるため、CMPに登録するタグがわかるよう、きちんと整理しておく必要があります。
また、データトラッキング・UXへの影響にも注意が必要です。
CMPツールの設定を誤るとデータ取得ができなくなったり、Webサイトの表示が崩れてUXの低下を招いたりする懸念があります。
上記2つの課題への対応など、導入に際して情報システムや法務に関する専門知識が必要になります。技術サポートや法務コンサルティングなどの専門家に依頼するのも一つの方法です。
CMPツールの導入メリット・デメリットや課題を理解したところで、続いてはCMPツールの機能・役割をみていきましょう。
4.1 同意情報の取得・管理
CMPツールの最も重要な機能は、ユーザーの同意情報の取得と管理です。
Webサイトやアプリを訪問したユーザーに対して、ポップアップなどで取得する個人データ・利用目的等を表示し、同意情報の取得・管理をおこないます。
訪問したユーザーは、自身の個人データがどのような目的で収集・利用されているかを把握したうえで、同意するか否かを決定できます。
4.2 外部システムとの連携
CMPツールには、タグマネージャー・顧客管理システムなどの各種マーケティングシステムと連携できるものがあります。
マーケティングデータと同意情報を紐づけて、法的リスクを回避したうえで効率的なマーケティング施策を講じることができます。
ただし、カスタムが必要なものや連携自体が不可なCMPツールもあるため、事前に確認が必要です。
4.3 同意取得バナーの作成・実装
CMPツールでは、同意取得バナーやCookieポリシーの作成・実装が可能です。
訪問したユーザーのデバイスやアクセス元に応じたポップアップバナーの表示・出し分けができるものもあります。
バナーのデザインや同意取得の文言など、ユーザーの利便性を考慮しつつ自社のブランドイメージに適したツールを選びましょう。
4.4 同意状況の分析
CMPツールを利用すると、ダッシュボードでユーザーの同意取得率などを随時確認できます。
使用デバイスやアクセス期間などが可視化できるツールや、同意状況のレポートを作成できるツールもあります。
CMPツールの導入を検討するにあたり、事前に導入手順を把握しておきましょう。
5.1 Cookieの整理とプライバシーポリシーの策定
まずは、取得しているCookieを整理する必要があります。用途ごとにCookieをカテゴライズしてタグを整理し、不要なタグを削除しましょう。
プライバシーポリシーの策定も必須です。最新の法規制に則っているかを確認したうえで、
取得する個人データの内容と利用目的を記載しましょう。
5.2 CMPツールの選定・実装
上記の準備が整ったら、自社に導入するCMPツールを選定して実装します。お試し期間を設けているツールの場合は、使いやすさや機能を確認しましょう。
CMPツールを選定する際のポイントについては、次章で説明します。
CMPツールには、海外製のものと日本製のものがあり、サービス内容や特徴がツールによって異なります。ここでは、選定する際のポイントについて解説します。
6.1 各国の規制への対応
各国の規制に対応しているかは重要なポイントになります。
上述のGDPRへの対応が必要な場合は、ゼロクッキーロードと呼ばれるWebサイトがユーザーの事前同意なしにCookieを受け取らないようにする仕組みが必須です。
CCPAに対応するのであれば、ユーザー自らCookie利用を停止・拒否するオプトアウトの機会提供が求められます。
また、改正電気通信事業法への対応も不可欠です。海外のツールの中には、日本の国内法など細かな規制に対応が追いついていないものもあるので注意が必要です。
6.2 機能性
Cookie同意取得バナーのカスタマイズ性も選定の際のポイントの一つです。
バナーのデザインや設置場所・表示方式が、自社のWebサイトやアプリケーションにマッチするかを事前に確認しましょう。
連携できるツールについてもチェックしましょう。
タグマネージャーや顧客管理システム等と連携が可能なツールもあります。
上述のようにこれらの連携によって、個人データを適切に取り扱ったうえで顧客分析や広告運用などをおこなうことができます。
6.3 サポート体制
CMPツールの導入に際して、各国の法規制や各種システムとの連携などに関する幅広いジャンルの知識が不可欠です。セキュリティ対策やトラブルへの対応も検討しなければなりません。
自社のみでこれらに対応するのが難しい場合は、導入設計・実装ならびに導入後の運用に関するサポートも選定の際のポイントになります。
6.4 利用料金
ここまで解説したポイントを押さえたうえで、初期費用や月額費用などを比較検討して自社の予算に応じたものを選びましょう。
なお、無料のCMPツールは機能が制限されているケースがある点に留意しましょう。
ここまで述べてきたように、ユーザーのプライバシーに関する規制は年々厳しさを増しており、従来通りのマーケティングやユーザー分析が困難になっています。
マイクロアドが提供する広告配信プラットフォーム「UNIVERSE Ads」は、マルチIDでの広告配信に対応しており、プライバシーに配慮した状態でマーケティングのニーズに合わせたデータ分析や広告配信をおこなうことが可能です。
配信先のメディアも多岐にわたり、インターネット広告のバナーや動画広告など多種多様なフォーマットに対応しています。
ご興味をお持ちの方はぜひご相談ください。
プライバシー保護の厳格化が進み、国内外のプライバシー保護に関する法規制が強化されています。そんな中、個人データ収集に関する同意を得るためのプラットフォーム「CMPツール」が注目を集めています。
本記事では、CMPツールを導入するメリット・デメリットと課題について解説しました。加えて、CMPツールの機能・役割のほか、導入手順やCMPツールを選定する際のポイントについて説明しています。
ユーザーの同意を得た状態でのデータ取得と広告配信の方法を模索している企業のご担当者は、ぜひ参考にしてください。
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