近年、ユーザーのプライバシー保護への意識の高まりから、世界中でCookie規制が強化されています。
この規制は、リターゲティング広告をはじめとするデジタルマーケティングに大きな影響を与え、広告主や広告代理店は新たな戦略を迫られています。
本ブログでは、ディスプレイ広告におけるリターゲティング広告の現状と代替手段をご紹介します。
▼こんな方におすすめです
・リターゲティング広告を配信しているマーケティング担当者
・Cookie規制がリターゲティング広告に与える影響を知りたい方
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まず、Cookie規制で具体的に何が規制されるのか、なぜ規制されるのかを見ていきましょう。
現在一般的に言われている「Cookie規制」は、3rd Party Cookieを指します。
Cookieには1st Party Cookieと3rd Party Cookieの2種類があり、発行主体者や用途が異なります。
今回規制される3rd Party Cookieは、広告事業者などのサイト運営者以外の第三者が発行しており、ドメインをまたいだユーザー行動の捕捉が可能となっています。
そのため、広告のターゲティングや効果計測などマーケティングに活用が可能です。
しかし、このトラッキング技術は年々高度化し、ユーザーのプライバシーの保護観点から近年問題視されるようになりました。
そこで、ユーザーに対するプライバシー保護と、トラッキングによるデータの不正利用防止のため、今回Cookie規制に至ったのです。
Cookie規制が広告配信に及ぼす影響は大きいです。
今回は、ディスプレイ広告における2つの影響を見ていきましょう。
①効果計測の制約
従来、Cookieは広告の効果計測に広く使用されてきました。
特定の広告をクリックしたり、ウェブサイトを訪れたりしたユーザーを追跡することで、広告の効果を評価することが可能でした。
しかし、Cookie規制によりトラッキングが制限され、コンバージョン計測の精度が落ちる可能性が高いです。
アトリビューション計測も困難になり、どの広告キャンペーンが売上やその他のコンバージョンにつながったのかを判断することが難しくなります。
結果、広告主は広告の効果や投資対効果を測定するのが難しくなり、広告効果の振り返りや次回施策の立案が曖昧になる可能性があります。
②ターゲティングの制約
ターゲティング広告は、ユーザー属性や行動データなどの情報を分析し、ユーザーにとって最適な広告を配信する手法です。
しかし、Cookie規制によりユーザー行動の追跡が制限されるため、ターゲティングの精度が低下し、費用対効果の悪化が予想されます。
中でもリターゲティング広告が最もわかりやすく大きな影響を受ける手法です。
リターゲティング広告とは、過去にWebサイトに訪れたことのあるユーザーをドメインを横断して追跡し、広告を配信する手法です。
高い広告効果が期待できるため、多くの広告主が活用してきました。
例えば、「A社の化粧品サイトを訪問したら、他のWebサイトを訪問した際にA社の化粧品の広告が出てきた」という現象に出会ったことはあるでしょうか。
それがCookieを活用したリターゲティング広告です。
この仕組みは、Cookieが規制されるとユーザーの行動履歴を正確に把握できなくなるため、リターゲティング配信は困難になってきます。
それでは、広告主はどのようにして、Cookieが規制された環境においても、効果的なデジタルマーケティングを継続していけばよいのでしょうか。
ここからは、ディスプレイ広告に関する代替手段を2つ紹介します。
リターゲティング広告が活用できないからといって、精度の高いマーケティング戦略が出来ないというわけではありません。
マーケティングの手段には、SNS広告やコンテンツマーケティング、自社データを活用したマーケティングなど多く存在します。
■3rd Party Cookieを活用しない広告手法
・コンテキスト広告:メディアの記事コンテンツ文脈にマッチした広告を配信する手法
┗マイクロアドのコンテキスト広告はこちら
・ソーシャル広告:FacebookやTwitterなどのSNSで広告配信
・ネイティブ広告:記事やコンテンツに自然に溶け込む広告
媒体の特性を理解して、ターゲット層や市場環境の変化に合わせて広告内容や配信方法を調整することは、Cookieが規制されることに関わらず重要な視点です。
自社データは、精度の高いターゲティング、顧客理解の深化、費用対効果の向上など、多くのメリットがあります。
データ分析によるメールマーケティングやCRMシステムなどを効果的に活用することで、顧客エンゲージメントの向上や収益拡大につながります。
Cookieに置き換わる代替技術やプラットフォームで、リターゲティング広告の代替を実現することもできます。
Cookie規制という逆風に立ち向かうために、以下のような代替ソリューションが注目されています。
・Privacy Sandbox:Googleが提案する、Cookieに依存しない新しい広告配信システム
・共通IDソリューション:Cookieに置き換わる代替IDを生成するソリューション
ここでは、第三章で触れたCookieに置き換わる代替手段をご紹介します。
Privacy Sandboxとは、Google社が3rd Party Cookie廃止に伴って提供している、ユーザーのプライバシー保護と広告による収益の両立を目指す仕組みです。
2023年7月から、ブラウザの本番環境にて段階的に各種APIがリリースされています。
(出典:https://privacysandbox.com/intl/ja_jp/open-web/)
リターゲティングの代替技術としては、Protected Audience APIが挙げられます。
従来の3rd Party Cookieを活用した配信とは違い、ブラウザ側のみでオークションが完結するため、 プライバシーを担保したリターゲティングを実現します。
Protected Audience APIの仕組みはこちら
共通IDソリューションとは、ユーザーを識別するための新しいIDシステムです。
共通IDソリューションは3rd Party Cookieに代わる新たなIDを生成してユーザーに付与することで、ユーザー識別とデータ連携を可能にする技術です。
共通IDソリューションは確定IDと推定IDに分かれています。
・確定ID:ユーザー許諾を得たメールアドレスなどの情報を暗号化して生成される一意のID
・推定ID:Web上で得られるユーザーの行動やデバイスの種類などの情報から、似たような行動をするユーザーに割り振る特定のID
共通IDソリューションでは、ユーザーの許可を得た情報をハッシュ化して活用するため、プライバシーは保護されます。
上記のCookieに置き換わる確定ID/推定IDを利⽤し、ターゲティング配信やコンバージョン計測が可能になります。
マイクロアドでは、2023年10⽉に国内市場において先⾏してPrivacy Sandboxと連携をしています。
Attribution Reporting APIとは、広告のクリックまたはインプレッションと、コンバージョンを紐づけて効果計測をする機能です。
Topics APIは、興味関心に基づいたターゲティング広告ができる機能です。
各種閲覧履歴を利用して、プライバシー保護を維持した上で配信を実現します。
※Privacy Sandboxの主要APIの詳細はこちら
マイクロアドは、約200の企業と提携し、ユーザーのライフスタイルデータを集約したデータプラットフォーム「UNIVERSE」を軸に、広告配信プラットフォーム「UNIVERSE Ads」と、メディア企業の広告収益化プラットフォーム「COMPASS」を提供しています。
上記広告プラットフォームにおいて、Privacy Sandboxへの対応が完了しております。
そのため当社で広告配信を行うことで、Cookie規制後でもユーザーの興味関心などの傾向を捉えたターゲティング広告配信と効果測定が可能となります。
当社では3種類のIDソリューションと連携しており、確定IDと推定IDの両方を組み合わせた技術を使用しています。
上記の施策を用いることで、Cookie規制の影響を最も大きく受けるリターゲティングについても、対策が可能となります。
マイクロアドは、国内でも数少ないPrivacy Sandboxと共通IDの両方に対応完了している事業者です。
現在来る2025年初頭のCookie規制開始に向けて、事前の検証トライアルパッケージを提供しています。
2024年4−6月のうちに、Cookieと比較したABテストを実施することをお勧めしています!
お問い合わせはこちら
Cookie規制は、デジタルマーケティングの海図を大きく書き換える、まさにパラダイムシフトと言える出来事です。
2024年夏に迫っている規制施行まで、猶予は残りわずかです。
しかし、未来ではなく今規制への対策を行い、積極的に新しいソリューションに取り組むことで、Post Cookie時代においても成果を上げることができます。
現在マイクロアドでは、リターゲティング広告の代替として共通IDソリューションやPrivacy Sandboxに関するお問い合わせを多数いただいております。
「3rd Party Cookieを活用しない広告配信をしたい!」という方は、ぜひお気軽にご相談ください!