こんにちは!Ads University編集部の松谷です。
広告事業者の方や広告代理店の方はおそらく聞いたことがあるPrivacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)。
Privacy Sandboxは、Google社が提供するPost Cookieソリューションとして注目を集めています。
しかし、「そもそもPrivacy Sandboxがわからない…」「広告配信にどう影響するの?」「難しそう」と思う方も少なくないでしょう。
今回は、Privacy Sandboxの基礎知識と、広告に関連する主要API「Protected Audience API」と「Attribution Reporting API」について解説します。
この記事を読めばPrivacy Sandboxのポイントを抑えられます!
最後までご覧ください。
▼こんな方におすすめです
・Privacy Sandboxの概要を知りたい方
・Cookie規制後のリターゲティングの代替策を探している方
・Cookie規制によるコンバージョンの計測機能の影響を知りたい方
・Privacy Sandboxの主要APIのポイントを抑えておきたい方
目次を表示
Privacy Sandboxの詳細や仕組みを理解する前に、まずPrivacy Sandboxとは何なのかを理解しましょう。
Privacy Sandbox(Privacy Sandbox)とは、Google社が提供する、ウェブやAndroidアプリの両方でユーザーのプライバシー保護を強化と広告効果の最大化の両立を目指す、業界全体の取り組みです。
Privacy Sandboxは、今までCookieを利用して行われてきたウェブサイトのトラッキングや広告効果測定だけではなく、ユーザーのプライバシーにも配慮した広告配信やWebサイト閲覧を実現します。
Privacy Sandboxでできることについては、各種APIによって異なるため、第2章以降で詳細を説明します。
Privacy Sandboxが生まれた背景として、Cookie活用によりユーザー情報が意図しない形で第三者に収集されていたことが挙げられます。
Cookieには主に1st Party Cookieと3rd Party Cookieの2つに分けられます。
1st Party Cookieは、訪問しているWebサイトから直接発行されるCookieです。
一方、3rd Party Cookieは、訪問しているWebサイト以外の第三者ドメインから発行されるCookieを指します。
今回規制の対象は3rd Party Cookieとなります。
3rd Party Cookie技術は、ユーザーの行動を複数のWebサイトの間で追跡したり、広告効果の測定やターゲティング精度の向上に活用されています。
広告事業者にとっては、上記の技術はターゲティング精度が高くなりWebサイトへの集客度や広告収益を高められるというメリットがあります。
しかし、ユーザーの行動を把握するうえで広告配信や計測時には便利な一方「ユーザーのプライバシーを脅かす懸念材料」として、世界中で議論の対象となっています。
個人だけではなく、組織や国においても個人情報保護の動きは活発になっています。
2018年にEUで制定されたEU一般データ保護規則(GDPR)を筆頭に、アメリカや中国など世界各国で法律が制定されました。
日本でも2022年に改正個人情報保護法が施行され、Cookie取得の際は事前に同意を求める方針になりました。
※海外での法律については下記ブログで説明をしております。
このような時代の潮流もあり、Google社は、ユーザーのプライバシー保護と広告の効率性を両立するエコシステムであるPrivacy Sandboxを提唱しました。
Privacy Sandboxでは、現在30個以上のAPI(※)が発表及び提供されています。
※APIとは、ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐ仕組み。
Application Programming Interface (アプリケーション・プログラミング・インタフェース) の略。
その中でも、今回は広告に関連する主要API「Protected Audience API」「Attribution Reporting API」の2つを解説していきます。
上記のAPIは、リターゲティング広告や効果測定に密接に関わるAPIですので、ぜひ覚えておきましょう。
1つめは、Protected Audience APIと呼ばれる技術です。
Protected Audience APIでは、「インタレストグループ」と「オンデバイスオークション」という新しい概念が登場しました。
「インタレストグループ」とは、広告に関するターゲティング情報のことです。
活用例ごとに異なる種類のインタレスト グループが作成されます。
「オンデバイスオークション」とは、ブラウザ内での広告オークションを表します。
広告オークションとは、広告枠に対して「どの広告を」「いくらで」掲載するかを入札で決定するものです。
従来のRTBでは、サーバー間でのオークションが一般的でしたが、ブラウザ内での広告オークションになることでインタレストグループに登録された情報をもとにオークションが行われます。
<Protected Audience APIの仕組み>
1、ユーザーがWebサイトにアクセス
2、広告タグ(配信事業者へURLなどを送信)が発火し、Webサイトがユーザーのブラウザに対してユーザーを特定のインタレストグループ(IG)に関連付けるよう要求
3、DSP事業者がインタレストグループを選択
4、ブラウザにインタレストグループ名と広告情報が保存され、リターゲティングユーザーの情報が蓄積される
5、 リターゲティングユーザーが広告表示されるサイトへアクセスする(例:デイリーニュース)
6、ブラウザ内でインタレストグループ同士のオークションを行い、勝利した広告が表示される
インタレストグループを活用することで、従来のCookieを活用せずにリターゲティング広告配信が可能な仕組みを提供しています。
\ PostCookieソリューションに関する資料はこちらから!/
続いて、効果計測に関するAPIを紹介します。
Attribution Reporting APIとは、広告のクリックまたはインプレッションと、コンバージョンを紐づけて効果計測をする技術です。
Attribution Reporting API を使用すると、従来のCookieを使わずに、ユーザーのブラウザを利用して広告の表示やクリックと広告主サイトでのコンバージョンを関連付けることができます。
複数のサイトをまたいで個人のアクティビティをトラッキングすることなく、コンバージョンに関する分析情報の取得が可能になるのです。
このAPIではサマリーレポートとイベントレベルレポートの2種類の機能が提供されます。
2 種類のレポートは同時に使用でき、相互補完的に使用できます。
サマリーレポートでは、一定期間内の広告クリックや表示に対して、日別や広告単位などの大きな粒度でコンバージョンのデータが提供されます。
広告主への報告レポートとしては、サマリーレポートが市場に流通しやすいと想定されています。
イベントレベルレポートでは、特定の広告クリックや表示に対して、個々のコンバージョンの発生単位でレポートの取得が可能です。
サマリーレポートと違い、広告クリックまたは広告ビューとコンバージョン等のイベントデータが紐づいており、より細かい実績を見ることができます。
発生ベースで計測が行われるため、計測期間は最大30日の遅延があり、レポートに含めることのできる情報量 (コンバージョン、購入金額など) は制限されます。
▼イベントレポートとサマリーレポートの比較
サマリーレポートは、次のように生成されます。
1、ユーザーが特定の設定の広告をクリックまたは表示すると、そのイベントはブラウザに記録されます。
2、その後、ユーザーがコンバージョンに達すると、ブラウザは詳細なクリックまたはビューイベントと詳細なコンバージョン データを照合します。
ブラウザは、このデータをサマリーレポートに出力します。
3、 サマリーレポートはブラウザで暗号化され、広告事業者のサーバーに送信されます。広告事業者のサーバーからサマリーレポートが集計サービスに送信され、概要レポートが生成されます。
サマリーレポートでは、まずユーザーが特定の設定の広告をクリックまたは表示すると、そのイベントはブラウザに記録されます。ユーザーがコンバージョンに達すると、ブラウザは詳細なデータを照合し、サマリーレポートに出力します。
このサマリーレポートはブラウザで暗号化され、広告事業者のサーバーに送信され、最終的にレポートが生成されます。
イベントレベル レポートでは、広告クリックまたはビューと、広告事業者によって定義されたコンバージョンデータとをブラウザで照合します。
その後、結果のレポートがブラウザから広告事業者に送信されます。
Privacy Sandboxは現時点で約30個以上のAPIを提案しているため、全てを理解することは難しいです。
広告事業者としては、リターゲティングや広告の効果計測に関連するAPIを理解することが、Privacy Sandboxの大枠を把握する鍵となります。
以下、各事業者の対応方法をご紹介します。
◯広告代理店
取引のあるDSP企業にAPIの実装状況をお問い合わせください。
広告主からのお問い合わせが今後増えることが想定されるため、関係部署がPrivacy Sandboxの知識を身につけていきましょう。
◯広告主(Web)
当社のようなDSP企業にAPIの導入状況を確認し、広告会社と協力してPrivacy Sandboxのテスト配信を行うことが必要です。
マイクロアドでは、広告業界でもいち早くPrivacy Sandboxに対応しました。
弊社で広告配信を行うことで、3rd Party Cookieを使用せずに、ターゲティング広告配信と効果計測を可能にします。
マイクロアドは、約200の企業と提携し、ユーザーのライフスタイルデータを集約したデータプラットフォーム「UNIVERSE」を軸に、広告配信プラットフォーム「UNIVERSE Ads」と、メディア企業の広告収益化プラットフォーム「COMPASS」を提供しています。
これまで、提供開始前のPrivacy Sandboxを活用した広告配信システムの構築やテスト配信を進めてきました。
2023年の10月に各種APIの対応が完了したことで、広告主様は、 Cookie規制後も「UNIVERSE Ads」を通して、ユーザーの興味関心などの傾向を捉えたターゲティング広告配信と効果測定が可能となります。
また、「COMPASS」を利用するメディア様は、3rd Party Cookieに依存しない収益化を実現することが可能になります。
マイクロアドでは、現状のCookieを使用した環境と、Cookieを使用しないAPIを活用した環境下で、広告配信及び効果計測を行うことができます。
これにより、2024年夏に予定されているCookieの利用規制が開始される前に、いち早く比較検証を行うことで、Post Cookie時代に備えることが可能です。
※リリース詳細はこちら
今回はCookieレスの対策方法として、Privacy Sandboxの概要と広告に関連する主要APIを説明しました。
ターゲティングや効果計測の仕組みが全く別物になるため、マーケティング担当者はKPIの根本的な見直しに迫られます。
今回ご紹介したPrivacy Sandboxだけではなく、他の代替ソリューションを理解し、自社のマーケティングに適したものをテストすることが重要です。
現在マイクロアドでは、リターゲティング広告の代替としてPrivacy Sandboxに関するお問い合わせを多数いただいております。
来る2024年夏のCookie規制に向けて、「Privacy Sandboxを活用した広告配信をしたい!」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!