IDFA(Identity for advertisers)とは、AppleがユーザーのiOS端末ごとに付与している広告識別子です。
広告識別子は広告IDとも呼ばれ、アプリの「広告配信」や「広告効果計測」といった広告目的で端末を識別するために利用されています。
IDFAに紐づいた利用履歴などの個人データを広告主や広告配信会社が取得し、分析・利活用することでアプリにおけるターゲティング広告の配信が可能になっています。
IDFAと似たものに、「AAID(Google Advertising Identifier)」があります。
AAIDとは、AndroidOSの端末に付与されている広告識別子で「GAID」「ADID」と呼ぶこともあります。
広告識別子は大きくIDFAとAAIDのふたつに二分されます。
どちらのIDもアプリマーケティングに活用されており、果たす役割は同じです。「IDの発行企業がAppleかGoogleか」という点にのみ違いがあります。
CookieはWebサイトを閲覧する際にブラウザに一時的にデータが保存される仕組みです。
Cookieと広告識別子は、どちらもユーザーを識別し、行動を追跡するために使用されているという点で類似していますが、下記の3点において違いがあります。
①識別方法
Cookieはブラウザごとに識別されます。
そのため、ユーザーが複数のブラウザを使用している場合は異なるCookieが発行されます。
一方、広告識別子はデバイスごとに識別されるため、複数のブラウザやアプリを使用している場合でも同じ識別子が使用されます。
②保管期間
Cookieには有効期限があり、短期のものと長期のものがあります。
一方、広告識別子はユーザーが手動でリセットしない限り永続的に保存されるものが一般的です。
③同意取得方法
Cookieや広告識別子はどちらも個人関連情報として扱われますが、ユーザーへの同意取得方法において違いがあります。
Cookieの場合、オプトインでの同意取得は必ずしも必須ではありません。しかし、近年はユーザーのプライバシー保護を重視する傾向が強まっており、多くの場合でオプトインが推奨されています。
一方、広告識別子はIDFAのみプラットフォームの規約によってオプトインが必須になっています。AAIDでは現時点では必須ではありませんが、将来的にはオプトインが必要になる可能性があります。
このように、Cookieの場合の同意取得はあくまでもサイト運営者の任意の対応でしかないのに対し、IDFAはOSレベルで制御されているという点は注意が必要です。
オプトイン/オプトアウトについては2.IDFAの使用制限で詳しく説明します。
Cookie には、「1st Party Cookie」と「3rd Party Cookie」の二種類があります。
1st Party Cookieは、アクセスしたWebサイトで発行するCookieです。訪れたWebサイトのみが情報を保存できます。
3rd Party Cookieは、ユーザーが訪れたWebサイト以外のドメインが発行するCookieです。具体的には、広告配信サービスなどの第三者が発行するCookieを指します。
従来、ウェブ広告では3rd Party Cookieを主軸として、ユーザーの興味関心がある内容でのターゲティング配信や広告の効果計測を行っていました。
しかし、プライバシー保護への意識の高まりから、各ブラウザで3rd Party Cookieに対して、通称「Cookie規制」と呼ばれる制限が進んでいます。
2024年5月現在では、Safariにおいて3rd Party Cookieが完全に無効化、Google Chromeでも2025年初頭から段階的に廃止されることが発表されています。
Cookie規制が進み、ユーザーの行動を追いかけることができなくなることで、ターゲティングや効果計測が制限され効果的な配信をすることが難しくなります。
従来の3rd Party Cookieを軸とした広告配信は、大きな転換を求められていますが、広告識別子を活用したアプリ広告での配信は対応策のひとつになり得ます。
Cookie、Cookie規制について詳しくはこちら:https://post-cookie.microad.jp/blog/02-cookie-regulation
アプリにおける広告配信で重要な役割を担うIDFAですが、実はCookie規制が始まる以前にAppleによりトラッキングの規制が行われています。
2021年春にリリースされたiOS14.5から、IDFAの取得方法が変更され、新しいアプリを開くごとにトラッキングの許可についてのポップアップが表示されるようになりました。
これまではユーザーがデータ提供設定を拒否しない限りは、アプリ事業者が自由にIDFAを取得できる、「オプトアウト方式」(デフォルト設定が「可」の状態)でした。
しかし、この規制によってユーザーによる明確な許諾が必要となり、「オプトイン方式」(デフォルト設定が「不可」の状態)へと移行しています。
またAndroidでも、2021年10月にリリースされたAndroid12から、ユーザーがオプトアウトした場合、モバイル広告IDの取得ができなくなりました。
トラッキングの許可をユーザーに確認するようになった背景は、個人情報(プライバシー)規制の強化です。
これは、Cookie規制における背景と同様です。
JIAAが2022年11月17日に発表した「2021年ユーザー意識調査の結果と課題への取り組み」の結果サマリーによると、広告が表示されることに対して受容しているものの、個人情報の利用には不安を感じる方が多いという結果が出ています。
このような個人情報に対する不安の声を受けて、Apple社はiOSにおいてアプリをダウンロードした際に、個人情報を収集するトラッキングについてユーザーに意思確認を取ることを義務化しました。
IDFAが規制されることで、まず懸念されるのが、IDFAが取得できる量が減少してしまうことです。
AppsFlyerによる調査では、2024年3月時点で、iOSアプリ全体のIDFA取得率は約12%と報告されています。
IDFAが付与されたリクエストが減少するということは、これまで取得できていたデータ量が減少してしまうことを意味します。
アプリ内でのユーザーの行動データが十分に分析できなければ、ターゲットを絞った配信や広告効果の測定が難しくなり、アプリ広告の配信精度は大きく低下します。
IDFAの利用制限が進む中で、IDFA/ADIDをどうPostCookie時代のマーケティングに活用していくのがいいのでしょうか。
有効な活用法を二つご紹介します。
①リターゲティングでの活用
ブラウザでは、Cookieの廃止に伴い効果の悪化が懸念されます。
一方、許諾さえ取ることができれば活用が可能になるIDFAやそもそも利用制限がないADIDを今から活用することで、Cookie廃止後の影響を抑えることができます。
②オーディエンスターゲティングでの活用
パブリックDMP等はCookieをベースとしてデータを収集しているケースが多くなっていますが、中にはADIDやIDFAベースでデータを収集している事業者も存在します。
そういった事業者は、Cookie廃止後も変わらない精度でオーディエンスターゲティングを行うことが可能になっています。
マイクロアドではCookie以外のIDFA等でもデータ連携を行っており、ウェブ/アプリを問わず、Cookieに依存しない形でターゲティングを行うことが可能です。
なかでもマイクロアドが提供している「App Impact View Ads」というプロダクトは、ターゲットを絞った状態でアプリ内の視認性が高い広告枠に動画広告を配信することができます。
その他、「App Impact View Ads」には下記のような特徴があります。
・SNSマーケティング用に作成した縦型動画素材が転用可能
・ユーザーは強制的に広告を見るのではなく、ポイント等の報酬を得るために自ら広告を再生するため、高いエンゲージメント率とコンバージョン率が見込める
もっと話を聞いてみたいという方やご興味をお持ちの方は是非お問い合わせください。
マイクロアドでは他にもCookie規制に対応したソリューションを随時アップデートしております。
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